近年、日本国内外の海外旅行者は段々と増えてきており、お正月やゴールデンウィーク、お盆休みといった長期的な休みには当たり前の光景となってきました。
しかし、ここで気になるのが、国内外から持ち出される寄生虫やウィルスといった感染症の類です。
私も、ちょうど高校の修学旅行でシンガポールがあり、初の海外旅行に気持ちが舞い上がっていたのですが、残念ながら当時流行っていたSARS、鳥インフルエンザでやむを得ず関西、もしくは沖縄行きとなってしまいました。
さて、そんな感染症の類を空港や港湾にて食い止めてくれるお仕事が「検疫官」です。検疫官は医師免許、もしくは看護師免許を持っている方であればなれるお仕事で、厚労省が行う採用試験(1次:書類選考、2次:面接選考)に合格する事で働く事ができます。しかし、採用頻度は不定期で、いつ採用試験が行われるのかは常に厚労省のHPをチェックしておく事がおすすめです。
お給料は国家公務員という形になり、国立病院や刑務所で働く看護師と同じくらいだとされる初任給約18万円程度から始まります。仕事は平日の日勤のみとされていますが、空港などの場合はシフト制である事が多いようです。
仕事内容は、大方予想がつくかとは思いますが、対象となっている検疫感染症に対する検査、実験、そして検疫が必要とされる渡航者の健康相談及び予防接種業務です。例えば、ハマダラ蚊によって起こるマラリアが多い亜熱帯地域に行く人には、それに対応する為の予防接種を行います。また、もし海外の新型インフルエンザなどにかかった人がいた場合は、その症状がなくなるまで診療を行う事もあります。
しかし、インフルエンザやSARSといった風邪に似た症状は基本的に発症までの潜伏期間が存在する為、帰国した時点ではその症状がなくある程度感染が拡大してから判明するという事も少なくありません。 ちなみに、人間相手とは違い、輸入肉の卸業や外国の花などの育成などを行う際にいる検疫官は農林水産省所管の検疫機関に所属します。その際は、人間相手の医師や看護師の免許は必要なく、獣医師の資格、もしく畜産系か農学系学部の卒業である事が条件になりますから注意しましょう。
感染症に真っ向から立ち向かう検疫官という仕事は、何かと不安が多い役職ではあります。しかし、国内外の渡航者が安心して旅行を楽しむ為にはとても大事な仕事であるといえるでしょう。